年金法改正による社会保険の加入対象の拡大
2025年08月25日 19:05
社会保険(健康保険・厚生年金)の加入は「週30時間以上」との認識が一般的ですが、徐々に拡大しているのはご存じの通りです。
「週20時間以上で加入」の企業規模が徐々に拡大していきますので、働かれる方への案内を間違えないようにしないといけません。
会社にとっては社会保険料の負担増が気になるところです。
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年金法改正による社会保険の加入対象の拡大
6月13日に年金制度改正法が可決・成立し、社会保険(厚生年金保険・健康保険)の適用拡大が決定しました。今回の改正により、短時間労働者(パート・アルバイト)の社会保険加入対象の範囲がさらに拡大されることになります。これから行われる社会保険の加入拡大の具体的な内容をまとめておきます。
◆企業規模要件の縮小・撤廃
現在、社会保険加入の企業規模要件は、従業員数51人以上の企業に勤務している週の所定労働時間が20時間以上の短時間労働者ですが、2027(令和9)年10月以降は、企業の規模を段階的に縮小し、2035(令和17)年10月には完全撤廃となります。
◆賃金要件の撤廃
「年収106万円の壁」として意識されていた、月額8.8万円(年収106万円)の要件も撤廃となります。撤廃の時期は、改正法の公布から3年以内の政令で定める日とされていますが、全国の最低賃金が1,016円以上となることを見極めて判断されます(最低賃金1,016円以上の地域で週20時間以上働くと、年額換算で約106万円となります)。
◆個人事業所の適用対象拡大
現在、常時5人以上の従業員を使用している法定17業種(弁護士・税理士・社会保険労務士等の法律・会計事務を取り扱う士業など)の個人事業所が社会保険加入対象となっていますが、今回の改正では、法定17業種に限らず常時5人以上の従業員を使用する全業種の事業所を適用対象とするよう拡大されます。
ただし、2029(令和11)年10月の施行時点で既に存在している事業所は当分の間、対象外となります。
◆支援策について
今回の改正により、社会保険の加入拡大の対象となる短時間労働者を支援するため、3年間、特例的・時限的に保険料負担を軽減する措置が実施されます。
対象となるのは、従業員数50人以下の企業などで働き、企業規模要件の見直しなどにより新たに社会保険の加入対象となり、標準報酬月額が12.6万円以下の短時間労働者です。
また、正社員化や労働時間の延長や賃金アップに取り組むことによって支給されるキャリアアップ助成金も活用できます。
【厚生労働省「社会保険の加入対象の拡大について」】
https://www.mhlw.go.jp/stf/seisakunitsuite/bunya/0000147284_00021.html